TOKYO産学公連携合同フォーラム2010
秋葉原ダイビル12階(
首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス)
2010年8月31日
「産学公連携コーディネーターによるコーディネート実務者のためのフォーラム」と
銘打たれた会合に、出席しました。
未来学コーディネーターは、産学連携を目的にしているわけではありませんが、
先日、首都大学東京の産学公の交流会に出席させていただいたご縁です。
基調講演は、産学連携学会の伊藤正実会長(群馬大学教授)による
「コーディネーターに何を期待するのか」でした。
以下、その内容を簡単にご紹介します。
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■産学連携コーディネーターの分類
産学連携コーディネーターは職能によって分類される。
1)デパートの総合案内係
相手の要望に応じて商品(シーズもしくは教員)の紹介はするが、
それ以上のことはしない。
2)ホームドクター(かかりつけ医)
相手のニーズを聞いて処方箋を作れる。
内容によっては相手に解決方法の提案ができる。
教員と企業の面談で双方の話しを聞いて関係を調整やリードができる。
3)プロデューサー
研究内容を聞いてシーズ育成の方向性を教員と論議できる。
シーズの紹介を企業にして潜在的なニーズを喚起させて企業と大学の
連携関係を構築して、プロジェクトを構築できる。
さらにはそのための支援資金や進捗状況の調整をする。
■研究と開発の微妙な違い
教員の研究テーマはどのように決まるか
①今までにない新しい概念を打ち立てたい。
②ある現象を明らかにしたい。
③潜在的な社会ニーズを解決したい
(③の成果がいわゆるシーズだが、裏腹のモチベーションとして①や②もある)
■大学の研究の特徴
・既存の知識体系の延長線上に今の研究テーマがある
(あまりに突飛なことはできない)
→その成果が、その後の潮流の源になるなら、風化しない。
■大学教員の△タイプ研究スタンス
(産学連携に興味ないこのタイプと連携しようとしても難しい)
・重箱の隅ばかり研究する。
・時流ばかり追いかけている。
・ボスから決められたテーマばかり。
・他の教授の焼き直しばかり。
■産学連携の同床異夢
・企業:大学をツールとして使って、自身の研究開発を促進し、
事業化、企業の業績アップ。
・官(行政):最終的には雇用の創出。税収のアップ。
・大学:外部資金獲得。研究教育活動の活性化(産業に興味がない訳ではなく
企業に対してシンパシーがあるのが一般的。
ただしそれは本来の組織目的と異なるが故に限界がある)
■コーディネーターが大学に対して留意すべき点
・大学の研究教育活動の特性・文化が理解できなければコーディネートはできない!
・企業の側の要望が大学への「研究教育活動」に馴染むか
(学生がやる意味を持てるか、また新しい知識体系の構築に寄与するかどうか)
・大学側の活動が、企業側に受け入れられるか。
■プロジェクトの目標設定の基準
①具体的である。
②現実的である。
③期限が限られている。
④達成度合いが測定できる。
⑤合意が取れている。
⑦目標達成の責任所在が明確である。
■コーディネーターが産学連携において留意すべき点
・電話やメールだけで対応を終えない。会う。
・研究の延長線上にビジネスがあるかを考える。
・企業の経営状況をチェックする。
・最終的には、人と人の関係が構築されるものなので、相手の人柄をよく見極める。
・紹介者は品質保証をしている。
・研究テーマと企業の課題が一致することは、まずないと思った方がいい。
・産学連携で大事なもののひとつはイノベーション
(産学連携を大学で進めるというだけでは、部分最適であって、
大学の全体最適ではなくなってしまうことも)
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伊藤先生には、私が手で書きとめた文章の範囲を簡単にチェックしていただきましたが、
詳しくは、
産学連携学会にアクセスしてください。
講演会の後、産業技術総合研究所、首都大学東京、中央大学、筑波大学、
電気通信大学、東海大学、東京海洋大学、東京商工会議所、東京都中小企業振興公社、
東京農工大学、東京理科大学、東京都立産業技術研究センター、
学校法人日本医科大学、日本大学による産学連携活動の紹介がありました。
その後の懇親会で、JSTの知識基盤情報部の植松さんと出会い、
曰く「コーディネーターのDBがあるんですよ」。
それは植松さんの部署のものではないらしいけれど…
「コーディネーターを検索するデーターベース」ですって?
これを聞き捨てることはできず、TAMA-TLOの武田さんに照会したところ、
TAMA-TLOや八王子先端技術センターにつなげることができました。
この話はまた後ほど。