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東京高専・加藤研の研究の巻



東京工業高等専門学校 加藤研

加藤さん(東京高専准教授)

2011年2月1日

――今日は、東京高専・電子工学科の加藤先生の研究室にお邪魔しました。

 先生のところでは、どんな研究をされているんですか?

加藤さん「窒素酸化物(NO、ノックスとも)を、空気から

除去する研究を行なっています。

空気中で、例えば木を燃やせば、酸素と木の中の炭素が反応してCOが出ますが、

空気中に1000度の高温の条件を作れば、NOは出ます。

燃やす対象物がなくても、空気の成分である窒素が燃焼によって酸素と化合して、

NOとなって出る、ということです。

(空気が燃える、ということになりましょうか)

■NOの研究

最近は様々な「効能」も発見されているNOですが、

環境汚染物質の悪者としてだけ見る時代がありました。

たとえばディーゼル車では、酸素の供給が多いので二酸化窒素(NO)が出ますし、

触媒で燃焼がコントロールされるガソリン車では、NOや一酸化窒素(NO)が出ます。

これらは大気中にあれば有害ですから、自動車NO法で

その排出量が規制されています。

しかし80年代にNOの分析技術が発展し精度も向上、

体の中のNOなどが測定できるようになり、いろいろなことが分かってきました。

たとえばNOを吸うと血管が広がって血圧が下がることが分かりました。

ニトロがまさにそれで、狭心症の薬として使われています。

血管の中で、NOが発生して拡張するのです。

また一酸化二窒素(NO、亜酸化窒素とも)は、

麻酔で使う笑気ガス、つまり吸入麻酔剤として医療現場で使われる一方、

環境破壊物質という側面もあります。

大気中に安定して存在するので成層圏まで昇り、オゾン層まで行って

これを破壊するのです。

その意味では、フロンと同じです。

さらに、COの300倍の温室効果があります。

いい面も悪い面もあるNOですが、これらを除去するために、

NOの様々な性質を考えます。

NO、NOは都会の汚れた空気の要因のひとつで、NOは除去しにくい物質。

Oは安定していて反応性が低い、NOは、液体になりやすい、

NOはあまり水に溶けないが、酸素と反応するとNOになり溶ける、

空気中ではガスだが、吸着剤の中では凝縮していて、液体に近い、等々。

というわけで、加藤研では、NOの浄化がひとつのテーマです。

NOXをOとNに分けるとクリーンになると考えられています。

しかし分けるには触媒が必要で、白金やパラジウムは高価でなかなか使えません。

そこで、これを安価に浄化する研究を進めています。

その一つの方法が、補足しやすいNOを利用して、NOを捕る手法です。

吸着剤に吸着しやすいNOをくっつけると、共吸着の効果でNOが捕れるのです。

これを発展させて、吸着剤にNOの代わりのものをくっつけても、

NOがとれるのではないかと類推していったところ、

実際、SOをくっつけてもNOはとれました。

金属の銅をうまく使った先生もいました。

ただ銅は、錆びてしまうので、再生させてリユースしなくてはなりません。

手術室の空気浄化を目的に、NOについても、除去方法の研究を進めたいと

思っています。

濃度が低いので、やはり吸着剤が有効です。

■資源問題の研究

地球環境のNOも大切ですが、

10年前に物質工学科から電子工学科に移ったのを期に、

資源問題にもチャレンジしています。

有用な金属をパソコンや携帯電話などの様々な電子基板からリサイクルするもので、

安価な方法で回収できないかと考えています。

最近では都市鉱山として注目されています。

■分離技術

NOにしても金属リサイクルにしても、「分離技術」がキーワードですね。

有害物質を除去し、有用なものを取り出す。

10年前は「吸着」をメインに考えていましたが、

最近は「吸着、結晶化、蒸着、抽出、ろ過」など、吸着と一緒に、

他の技術も使う方向です。

編集委員をしている「分離技術」誌も参考にしてみてください。

相平衡、蒸留、ガス吸収、吸着、抽出(超臨界流体抽出を含む)、

晶析といった技術に基本があることが分かっていただけると思います。

ここで使われる「分離操作」は、物質の性質(物性)の違いや、

温度や濃度の差を利用して分離する、というものです。

物質同志の親和性や相互作用を利用します。

また吸着剤は目的とする溶液に入れますが、その溶液中の成分が、

吸着剤と溶液のどちら側で安定なのかといったことも大切です。

吸着は、水の中、アルコールの中、酸の中などでは効果が異なり、

場が変わると、一度吸着剤に吸着された物質も脱離したりしますから、

これを利用すれば吸着剤の再生にもつながります。

■技術者はいまから海外に目を向けよう!

いまは、高専の卒業生も大勢海外に行く時代です。

私の同期の者も、30人中5人くらい、中国や東南アジアなど海外に行っています。

エンジニアは世界中の工場に行って技術指導をする時代に、すでに入っています。

でも今のままでは日本人のエンジニアは「技術の知識はあるが何も知らない」と

言われるかもしれません。

様々な文化や価値感、宗教の異なる人々とチームを作ることだってあるでしょう。

なのに高専生は技術の勉強ばかりしている。

歴史や政治も学んで、幅広い視点を持って、いまから世界に行く準備をしておきましょう」

<このブログは八王子未来学コーディネーターがおおくりしています>  


  • Posted by コーディネーターズ at 15:49Comments(0)学校・学生・就職活動